瑞(=旧みづ)は生物とくに植物の、聖なる生命力に満ちた新鮮なさま、
秀は他から抜きん出て、目に立つもの。稲穂の穂も秀から出ている。
撰りすぐった原料米を磨きあげ、恵みの水、百年水と合わせ、杜氏はじめ
蔵人たちの熟達の技が醸し出した、福光屋の最高峰、
純米大吟醸中汲み囲いを、瑞秀と名付けた。
米の国、酒の国を讃える日本の古称、
豊葦原瑞穂国の俤も重ねて。
「瑞秀」は、
福光屋・純米大吟醸の頂点となる銘柄として1994年に誕生しました。
その年々の最上質の米の個性と高度な酒造りの技を結集させ、
30回のヴィンテージを重ねてきました。
「瑞秀」プレミアムヴィンテージは、
その中から10年以上に及ぶ瓶貯蔵によって
色、香り、味わい、複雑さ、余韻そのすべてが傑出した、
まさに「瑞秀」の極みとなるシリーズです。
時間という恵みに磨かれた
純米大吟醸の美しい味わいを存分にお楽しみください。
限られた稲穂の先からごく僅かだけ摘み穫る大粒最良の米。
「粒撰」とも呼んでいる。酒米の最高峰といわれる山田錦発生の
地は兵庫県多可町中区。福光屋はこの地域の生産農家と
五十年にわたり契約栽培。土づくりから共に研究し、
より良質の山田錦の育成に取り組んで来た。
毎年秋、みごとに稔った山田錦の中から、とくに大粒の米を撰り
すぐり、極上の原料米としている。
「穂先米」は磨きに磨かれ、
なめらかで艷やかな舌ざわりを持つ、僅少の純米大吟醸となる。
生まれたて百歳の酒造り最適の水。
霊峰白山に降り注いだ水が地中深くしみ込み、
幾重にも重なった貝殻層を通り抜けるあいだに、
酒造りに最適の恵みの水に成長して、
福光屋の地下一五〇メートルまで辿り着く。
その間、じつに百年という悠久の時間が流れている。
酒蔵にとって、水は命。創業以来、福光屋が石引の地に蔵を置くのは、
滾々と汲めども尽きぬこの仕込水があるからにほかならない。
出来立ての酒の中心の部分を貯蔵すること。
醗酵を終えた醪を布袋に入れ、槽の中に並べ重ね、
その重みで酒が搾られる。
昔ながらの方法で最初に迸るのが「新走り」、
次に来る絹のようななめらかな舌ざわりの最も旨味がある部分が「中汲み」。
これを一定温度で一定期間囲う(貯蔵する)ことにより、
絶妙な香味を生み出すのである。
命名者
1937年 福岡県生まれ。少年時代から試作を試み、
1959年『ミノ・あたしの雄牛』を出版。多数の詩集を出す。
現代詩と伝統詩を兼ねて作り続ける現代唯一の詩人。
1993年に金沢を詠んだ句集『金沢百句 加賀百景』を出版。
『王国の構造』で歴程賞、『兎の庭』で高見順賞を受賞。
詩、短歌、俳句、狂言など、ジャンルを超えて創作活動を続けている。
彼の類まれな表現力から「瑞秀」、「百々登勢」のネーミングが生まれた。
「百々登勢」の書を手掛けたのもこの人物。
金沢を中心に石川県の四季を百の句にまとめた
俳句篇『金沢百句』とその自註篇『加賀百景』の共箱二冊。
「雪の夜の繭と灯りて麹室」(福光屋の酒造で杜氏、
蔵人たちと寝食を共にし醸造工程を見学した折に残した句)、
「百歳のいのちのけふを荒走」
(福光屋の百年水と福正宗の新走をかけた句)他。
付記より「出島さんと福光さん、お二人の精神的と経済的の支援を得て、
私の金沢がよい、石川めぐりは予定どおり、二箇月に一度の割合で二年続いた。」
書
石川県書道美術振興会参与、光徳院前住職。妻で俳人の井上雪(1999年没)
の四季折々の自然を詠む句を優美な筆致で表現した合作を多く残した。
坊守として長く寺を支えるかたわら、
妻の死後も数多くの妻の俳句を読みやすい調和体で
記した作品をつくり続けた。
2008年9月8日逝去。享年83歳。
酒造年度それぞれの個性は、しっかりとした管理のもとであれば、瓶貯蔵によってさらに磨きがかかります。 福光屋では、熟成具合や品質を見極め、酒の価値に相応しい価格を決定する目的で、毎年9月に元東京農業大学教授の吉澤淑先生をお招きし、 「ヴィンテージ委員会」を開催、選び抜いた銘柄を数量限定で蔵出ししています。
ワインの品質は原料葡萄の品種や畑の土壌、気候などにより大きく影響され、 それらが優れた調和をした年のワインの品質(ヴィンテージ)は素晴らしく、年々進化していくことは良く知られているが、 ワインに比べ香りが低く、味が重く深い上、原料米の酒質への影響が小さい日本酒ではヴィンテージは存在するのであろうか。 又、熟成によりどのように変化するであろうか。
この問題に真剣に取り組んでいる酒蔵が福光屋で、過去二十年近くに亘り、
最高の出来の日本酒を貯蔵し、毎年その変化を研究してきた。その結果、日本酒の奥深さを示す数々の素晴らしい知見が得られたが、
その一端を紹介すると、
一、日本酒にも明らかにヴィンテージが存在する。
二、熟成中ヴィンテージ酒は大きく進化し、新しい香味が加わり複雑になるが、キリリとしたタイプ、芳醇なタイプと様々で、酒により進化の速さや停止時期が異なり、
時間の軸が消費者の新たな選択の楽しみといえよう。
元東京農業大学教授
吉澤 淑
熟成期間19年。華やかな吟醸香が落ち着いた雰囲気となりました。味わいは穏やかな丸みを帯び、上品で厚みのあるまとまりを見せています。
繊細かつ軽さを感じさせるファーストタッチでありながら、飲んだ後に広がる深い余韻、格別な満足感があります。
原材料 : 米(国産) 米麹(国産米)
原料米: 山田錦(兵庫県多可郡中区坂本産)100%
精米歩合: 40%
製造法: 純米大吟醸
アルコール度: 16.4度
日本酒度: +3
酸度: 1.6
アミノ酸度: 1.3
熟成期間15年。山廃酒特有のミルキーな香りと華やかな吟醸香が絶妙に調和。
心地よい苦味のキレとともに味わいに厚みが生じ、力強さも感じさせます。つるりとした滑らかな舌触りが個性の一つでもあり、主張の強さを印象づける1本です。
原材料 : 米(国産) 米麹(国産米)
原料米: 山田錦穂先米粒撰(兵庫県多可郡中区坂本産)100%
精米歩合: 40%
製造法: 山廃仕込 純米大吟醸
アルコール度: 16.8度
日本酒度: +4
酸度: 1.4
アミノ酸度: 1.2
熟成期間12年。香りと味わいの生き生きとした調和とコクが楽しめ、飲み手に問いかけ、寄り添うようなやさしい深みが感じられます。
繊細さ、軽やかさを残しながら熟成が進み、丸みのあるふくらみが特長です。気候、風土、人知が結実したグレートヴィンテージです。
原材料 : 米(国産) 米麹(国産米)
原料米: 山田錦(兵庫県多可郡中区坂本産)100%
精米歩合: 40%
製造法: 純米大吟醸・原酒
アルコール度: 16.7度
日本酒度: +5
酸度: 1.4
アミノ酸度: 1.1
熟成期間19年。華やかな吟醸香が熟成により落ち着き、おおらかにまとまりました。
軽やかさの中に、甘さ、辛さ、酸味、苦味、渋味のすべての要素が好ましいバランスで調和し、たっぷりとした貫禄を感じさせます。飲み終わりの満足感も特長です。
原材料 : 米(国産) 米麹(国産米)
原料米: 山田錦(兵庫県多可郡中区坂本産)100%
精米歩合: 40%
製造法: 山廃仕込 純米大吟醸
アルコール度: 16.3度
日本酒度: +2
酸度: 1.4
アミノ酸度: 1.2
「瑞秀」プレミアムシリーズは、低温度帯の
貯蔵環境で瓶貯蔵した純米大吟醸です。
配送はクール便にてお送りいたします。
お飲みいただくまで、極力温度変化の少ない
冷蔵環境で保管いただきますようお願いいたします。
優れた熟成香と吟醸香、豊かな味わい、
口当たりの滑らかさが最も調和するのは12〜15℃前後です。
冷蔵庫保管(5℃前後)の場合は、室温にてお酒の温度を調整ください。
また、グラスに汲みおいて
香りや味わいの変化をお楽しみいただくこともできます。
ボウル部分が大きなワイングラスは複雑な香りと旨味が強調され、
スワリングによる効果も得られます。
リムがやや狭いグラスは鮮烈な吟醸香が引き立ちます。
グラスを替えてお楽しみいただくのも一興です。