日本に現存する唯一の「詩人」。雄大、深淵なことばの海に遊ぶことを許された人。高橋睦郎。味わい、匂いまでもことばで現わしてしまうその人は、金沢の地で百の句を詠んだ。寿蔵を訪れ、蔵人たちと寝起きをともにし、残した句に、百年を詠みかえたことば「百々登勢」がある。長期熟成酒を呼ぶ名としてのその意味は、百々登勢に寄せる一文を読めば一目瞭然である。食を愛し、酒を愛す彼の個性は、そのことばだけでなく彼の筆跡にも如実に現われている。「百々登勢」はその書も彼の手に委ねた。ことばが彼によってビジュアル化されると、長期熟成酒のブランドのかたちとして、ひとつの答えが浮かび上がる。福光屋大吟醸の頂点「瑞秀」のネーミングも彼による。