蔵人が丁寧に仕込んだ「純米本味醂 福みりん」は、家庭料理のつくり手からプロの料理人をも納得させる味わい。定番の煮付けにとどまらず、和洋のさまざまな料理へと活用できることも特長です。 金沢で最も長い歴史をもつ料亭「日本料理 つば甚」の料理長・川村浩司さんに、みりんの使いこなしとレシピを教えていただきました。
宝暦2年(1752年)創業の金沢で最も長い歴史を誇る料亭。
伊藤博文をはじめ政財界の重鎮や時の文人墨客に深く愛された老舗として、
金沢の食や芸、調度やしつらいにまつわる文化を守り今に伝えます。
昼、夜の会席と加賀料理を楽しめるほか、金沢の美味を詰め込んだ正統派のお節や花見弁当も人気。
宝暦2年(1752年)創業、金沢で最も長い歴史と伝統を誇る「日本料理 つば甚」さんに、福光太一郎(福光屋・14代目)が新しくなった「福みりん」をお届けしました。 つば甚料理長・川村浩司さん、17代目若女将・鍔裕加里さんに「福みりん」の魅力をお聞きするとともに、本みりんのよさを味わえるお料理も考案していただきました。
加賀料理の代表格としても馴染み深い、「治部煮」や「べろべろえびす(卵の寒天寄せ)」、「胡桃の佃煮」、
甘辛く炊いたおからを腹に詰めた「鯛の唐蒸し」などの祝い料理は、いずれも甘辛い味付けの料理です。
つば甚 料理長 川村浩司さん:
料亭の料理は、圧倒的にみりんを多く使います。砂糖を使う料理はほとんどありません。
品のある甘味、甘味と同時に旨味や風味の奥行きが出せるのはみりんの他にないのではないでしょうか。
たしかに、伝統的な加賀料理にはみりんをたっぷり使う料理が多いですね。金沢の表現では“甘くどい”(甘く、しっかりとした味の意)。
治部煮もみりんと出汁を使います。
つば甚 料理長 川村浩司さん:
よくいわれるのは、京都・大阪は贅沢な出汁の文化、関東は醤油の風味、石川は発酵の旨味。これが土地土地の食文化のベースにあると思っています。麹の働きを巧みに生かした旨味や食味の変化、保存性の高さは北陸の特長でもあり、人々の食の嗜好の根本になっていると感じます。
「純米本味醂 福みりん」も、石川県産のもち米と兵庫県産・フクノハナの米麹を原料に、本格米焼酎で仕込んだ発酵調味料です。麹菌によってもち米の豊かな甘味や風味が、約8ヶ月以上の時間をかけてゆっくり引き出された本物のみりんです。「福みりん」そのものを味見すると麹の香りのよさがよくわかるという川村料理長。
家庭料理の多くは「福みりん」で十分に美味しく仕上げるという川村料理長。熟成期間3年、10年の「福みりん」の計3種のみりんで玉子焼きを作っていただきました。 卵やみりんなど、素材の分量を揃えて作ってみると、それぞれのみりんの特性がよく表れた仕上がりに。
つば甚 料理長 川村浩司さん:
色味の違いだけでなく、風味や食感にも違いが出ます。最も色が濃いものは10年熟成のみりんを使用したものですが、
重厚感があり濃縮した旨味があって玉子焼きというよりカステラや酒肴のよう。中間の3年熟成は、みりんの香りとコクの存在感がしっかり伝わります。
色の淡いものは熟成のない“福みりん”を使用したものですが、玉子の美味しさを引き立たせる裏方のような働きをしてくれます。
熟成みりんとの使い分けで、料理が大きく変化することを知っていただくとまた違う面白さが体験できると思います。
みりんの使い方を柔軟に考えて、自由に料理を楽しめるといいと思います。
金沢生まれ。1989(平成元)年に「つば甚」に入社し、1999年に料理長就任。金沢で最も歴史ある料亭「つば甚」の味を大切に守り続けている。 加賀料理の普及や和食の基礎を子どもに伝える食育にも熱心に取り組んでいる。
RECIPE01
のど黒(一尾)、長葱、金時草、ごぼう
タレ(酒...200ml、水...200ml、福みりん...70ml、醤油...50ml)
福みりん...少々(仕上げの照り出し)
「福みりん」は、家庭料理に最も使いやすい本味醂だと思います。上品な香りと甘味があ
り、さまざまな料理にお使いいただけると感じています。食材の色味を引き立てながら、
甘味や旨味をしっかり煮含ませることができます。
とくに、野菜の炊き合わせや白身魚の煮付けなどに向くと思います。調味の最初に味醂を
使って味を浸透させ、“追い味醂”で照りよく、旨味いっぱいに仕上げてください。
RECIPE02
車麩(または食パン)
バター
卵液(全卵...1個、 福みりん 三年熟成...60ml、 牛乳...60ml)
福みりん 三年熟成...適量(シロップ用)
「福みりん 三年熟成」は、そのまま飲みたくなるような濃厚な味わい。まるで貴腐ワインの
ような芳醇な香り、甘味と旨味のバランスのよさ、熟成感を感じます。
鰤や鯖などの魚や肉の旨味を引き出した煮物や照り焼きはもちろん、卵や牛乳とも好相性
ですのでデザートにもお使いいただけます。少し煮詰めてシロップ、カラメルのような使い
方にも向きます。
RECIPE03
能登牛(ヒレ)
五郎島金時
加賀蓮根
加賀太きゅうり
珠洲の塩
こしょう
タレ(からし...大さじ1、 福みりん 十年熟成...大さじ2)
「福みりん 十年熟成」は、長い時間をかけてゆっくりと凝縮された深い旨味とコク、軽い酸
味までが調和した、味醂のイメージを大きく超える風味。調味料でありながら、“完成した
料理”の域に到達しているような印象です。
醤油や味噌などを加えることなく、この個性をピュアに高める使い方がおすすめです。
肉汁と煮詰めてソースにしたり、メインディッシュやデザートの風味付けに向きます。