能登町の酒蔵「鶴野酒造店」
奥能登鳳珠郡能登町鵜川エリアに酒蔵を構え、創業220余年の歴史をもつ老舗。蔵元・鶴野晋太郎さんと妹で杜氏の鶴野薫子さんが醸す「谷泉」や「登雷」などの代表銘柄が知られ、熱烈な地酒ファンによる“推し蔵”として人気を集めていました。1月1日の地震では鵜川地区にある2/3の建物が全半壊を含む大きな被害を受け、一部津波の被害もありました。鶴野酒造店さんは、酒蔵、店舗、住居全壊の被害を受けました。
「令和6年能登半島地震」で酒蔵と店舗の全壊被害を受けた、
奥能登の鶴野酒造店さんの救出米を使用した共同醸造が福光屋で行われました。
「石川の地酒を守る」。この思いを原動力に、
鶴野酒造店と福光屋の蔵人全員が関わり心を込めて醸した2種類の吟醸酒がようやく搾り上がりました。
復興への願いを込めた、特別な“石川の地酒”をお届けいたします。
奥能登鳳珠郡能登町鵜川エリアに酒蔵を構え、創業220余年の歴史をもつ老舗。蔵元・鶴野晋太郎さんと妹で杜氏の鶴野薫子さんが醸す「谷泉」や「登雷」などの代表銘柄が知られ、熱烈な地酒ファンによる“推し蔵”として人気を集めていました。1月1日の地震では鵜川地区にある2/3の建物が全半壊を含む大きな被害を受け、一部津波の被害もありました。鶴野酒造店さんは、酒蔵、店舗、住居全壊の被害を受けました。
地震による大きな被害を受けながら「お米だけは絶対に無駄にはできない」という強い思いで、全壊した酒蔵から今期の仕込みに使う酒米を救出した鶴野酒造店の鶴野晋太郎さんと鶴野薫子さん兄妹。しかし、今期の酒造りは途中で断念せざるを得ない、さらにはこの先の酒造りや酒蔵再建の見通しも立たない深刻な状況でした。この窮状を知った福光屋は、県内の醸造仲間の力に少しでもなりたい、石川の地酒は県内の酒蔵で守るという思いから共同醸造に向けた調整を急遽はじめました。
救出した酒米を100%使用して福光屋の醸造蔵・壽蔵で仕込み作業が始まったのは、地震からちょうど3ヶ月が経つ頃。この日までに、鶴野薫子杜氏と福光屋の杜氏・板谷和彦は、どんなお酒をどう造るか、香りや味わいの方向性、それを可能にする酵母の選定など細かな打ち合わせを繰り返しました。 酛立ては、蔵元の鶴野晋太郎さん、薫子杜氏、福光屋の蔵人が総出で実施。薫子杜氏は2〜3日に1度の頻度で壽蔵に通い、早朝作業を含め日々の酒造りを共に進めました。薫子杜氏は空き時間を見つけては福光屋の通常の仕込みにも加わり、蔵人たちとも積極的に交流。石川県内の醸造研修で互いをよく知る仲でもあることから、福光屋のベテラン蔵人と有意義な技術交流も行われました。
「地震という大きな出来事が共同醸造のきっかけにはなった。でも、こんなときだからこそ、こんなときにしかできないことをと前向きに考えて、鶴野酒造店さんが挑戦してみたい味わいづくりに取り組んでみたらよいのではないか。もちろんそれが福光屋にとってもよい経験にもなる」という福光屋杜氏・板谷和彦。
鶴野薫子杜氏には、「これまで私たちが造ってこなかった華やかな吟醸香が楽しめるお酒、旨味がありながら軽やかで綺麗なお酒に挑戦してみたかった。できればいつも使用している酵母を使いたい」という思いがありました。
そのような経緯で鶴野酒造店さんが代表銘柄で使用する定番の酵母と福光屋の吟醸系自社酵母の2種類を使用した醸造が始まりました。薫子杜氏にとって一つのお酒に2種類の酵母を使った醸造は初のこと。薫子杜氏は福光屋の酒蔵に通い続け、目指した味わいに近づけるための細やかな手入れを行い、福光屋も緻密な分析やデータ管理のサポートを行い、蔵人も全力で醸造に関わりました。
ラベルには両蔵元の頭文字の一字を正面に配し、両杜氏の名を記しました。技術面の工夫だけでなく、造り手の思いが込められた1本に仕上がりました。
りんごやバナナを連想させるふくらみのある吟醸香、軽い旨味の中に酸や甘さが溶け込んだ非常に繊細でやわらかな味わい。ややミルキーな風味が味わいの複雑さを生み出しています。多くの料理と幅広く合わせられる後味の軽さも特長です。
能登の食材、魚介料理、オムレツなどの卵料理、チーズなどと好相性です。
原材料 : 米(国産) 米麹(国産米)
原料米: 五百万石(石川県産)88%、山田錦(兵庫県産)12%
精米歩合: 50%
製造法: 純米大吟醸・生貯蔵酒
アルコール度: 15度
日本酒度: -2
酸度: 1.5
アミノ酸度: 1.3
「しっかりと「谷泉」らしさが感じられて、自分たちのお酒の存在感が生きるブレンドになっています。それでいて味わいに新しさがあり、非常に飲みやすい。食中酒に最適な味わいですので、ぜひ能登の食材に合わせてお楽しみいただきたい」と鶴野晋太郎さん(左)。
「両銘柄とも石川の地酒としてすでに多くの方に認知もいただき、ご愛飲いただいていますが、それをブレンドしたことでまた新しいお酒になっていく。共同醸造だからこそできる試みの一つとして、石川の地酒の挑戦として、多くの方に広がってくれたら嬉しい」と、福光屋専務取締役・福光太一郎。
鶴野酒造店さんの代表銘柄「谷泉」と福光屋の「加賀鳶」を1対1でブレンドした限定酒です。今回共同醸造した「谷泉 特別純米」(鶴野酒造店さんの契約店で販売)に最も相性のよい「加賀鳶」を選びました。
ラベルは、「谷泉」と「加賀鳶」のロゴをセンターで繋ぎ、1対1のブレンドをシンボリックに表現。鮮烈な赤と金のコントラストも印象的です。
「谷泉」と「加賀鳶」それぞれの地酒の個性が混じり合い、味幅のある立体的な旨味の吟醸酒に仕上がりました。りんごやメロンを思わせる吟醸香、吟醸酒ならではの軽さの中に満足感のある旨味があり、地酒としてのほどよい主張が楽しめます。能登の岩牡蠣、甘エビの刺し身、白身魚の天ぷら、ハーブを使った魚介料理、カプレーゼ、フレッシュチーズなどと好相性です。
原材料 : 米(国産) 米麹(国産米)
原料米: フクノハナ(兵庫県産)50%、山田錦(兵庫県産)36%、五百万石(石川県産)14%
精米歩合: 58%
製造法: 純米吟醸・生貯蔵酒
アルコール度: 14度
日本酒度: +4
酸度: 1.6
アミノ酸度: 1.3