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邪気を払い、
健康と不老長寿を願い
飲まれてきた菊酒。
重陽の節句とは、9月9日に行われる年中行事であり、菊で邪気を払う習慣があったため「菊の節句」とも呼ばれます。江戸時代に式日(いまでいう祝日)とされた「五節句」のひとつです。
平安時代には「重陽の節会(ちょうようのせちえ)」として、宮中行事が行われるようになりました。菊酒を飲み、邪気を払って長寿を願うほかにも、詩を詠み、菊を鑑賞して楽しむなども行われていたようです。
古来から行われている重陽の節句の楽しみ方に、菊酒があります。本来は菊の花をつけ込んで作ります。菊の香りや風味が移るため、独特の味がしたそうです。しかし、より簡単に、食用菊の花びらを酒に浮かべるだけでも楽しめるでしょう。
菊酒の歴史
中国、魏(ぎ)の皇帝となった曹丕は幼少時、虚弱で長生きできないと言われていましたが菊酒を勧められ服用した後、強靭な身体を手に入れることができた。そうした中国の伝説が菊酒の起源です。日本では、平安時代に貴宮中行事の際、天皇が臣下に菊を浸した酒を下賜し、体をいたわったとも言われています。
菊酒にまつわる物語
中国の作品のひとつ、ある村の川岸で伝染病が流行り始めます。伝染病は埋葬する場所もないほどの死者を出していました。伝染病は川に住む疫病神が起こしていると聞いた若者は疫病神を退治しようと、山の仙人に教えを請います。仙人は「九月九日に疫病神が襲ってくる」と若者に伝え、菊花酒と茱萸(ぐみ)の葉を手渡します。若者は村人を山間に避難させ、菊花酒を一口ずつ飲ませます。疫病神がやってきますが、山のふもとには酒の匂いが漂い、近づくことができません。若者が疫病神を剣で一突きすると、伝染病も九月九日を期に収まった、と言い伝えられているそうです。
重陽の節句とは